サイバートラスト ジャーナル

SHA-2 第 2 話

2016.02.24
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前回までのあらすじ。

--西暦 2016 年、人類は迫りくる根源的破滅脆弱性との戦いに疲弊していた。このまま文明は滅亡してしまうのかそれともかつて氷河期をやり過ごすことができたように今回も乗り切ることができるのか。突如として現れた謎のキーワード「SHA-2」。そこに行けばどんな夢もかなうという桃源郷なのかはたまた絶体絶命の危機を救うために名乗り出たホワイトナイトなのか。少し俯きがちに横を向いたまま仮面の男は言った。

「わかってしまえばどうということはない。」

 他にもあることはあるが、一般的に SHA-2 と呼ばれるものは主にこの3つである。

1. SHA-256
2. SHA-384
3. SHA-512

 つまり、総称なのだ。それぞれ横の数字はビット数を表している。かつて SHA-1 では「ぐちゃぐちゃ」にした後の数値は必ず 20 バイトだった。つまり 160 ビットである。SHA-256 では 32 バイトに、SHA-384 では 48 バイトに、そして SHA-512 では 64 バイトになる。必ずなる。SHA-384 などはその片鱗もなく、「2」と呼ぶことすら躊躇ってしまいそうだ。でも、なぜ「2」にしたのか。

 何にせよ名前をつける際は思いを込めるものである。人の名前はもちろん流れ星や小惑星にだって名前はある。まだ完成していないパソコンのオペレーティングシステムソフトウェアにだって愛称をつけるのだ。それにしても、今回もなんとかならなかったのだろうか。

 今 PKI として確立された技術の中核をなす計算を世に出したのは 2 人の偉人であり、今でも使われている鍵を交換するアルゴリズムの名前も彼らの頭文字 2 つを並べたものである。やがて広く一般に使われだした頃にはある会社が隆盛を極めた。その名前もある 3 人の頭文字を並べたものだった。あまり長いと呼びづらいが短すぎても意味がわからない。昔見ていたテレビの中ではアメリカの会社の名前は必ず共同経営者の名前をそのまま「&」でくっつけたものだったような気がする。あんなに長くては自己紹介する時に大変だろうなあと思っていたが、DH や RSA では名前の由来さえわからない。もうちょっと、なんか、たとえばカスミやツバキみたいな名前はなかったのだろうか。

 そして今回は、なんと単純に「2」である。ビット数による違いもひっくるめて「2」にしてしまった。初代の成功は次の世代の冒険を阻むのか。一度うまくいったものの威光は使わなければ損とばかりに。どうせなら前の名前の後ろにエースやタロウやクウガやリュウキをつけたほうがまだましな気がする。ま、ここで文句を言ってもしょうがないんだけど。

 やがて「SHA-3」が世に出てくるだろう。またその時も歯がゆい思いをするのだろうか。それともその頃にはアルゴリズムがどうこうにはもう興味が無くなっているのだろうか。またそれも寂しい気がする。最新のものについていけなくても、それを追っかける気概は失いたくないものだ。技術者としての矜持でもある。

 「そんなことを言っているうちは、まだまだということだよ。坊や」

 書いている本人でさえ、果たしてこれは技術系ブログなのかどうか怪しくなってきた。次回は技術者も少しは興味を示すことができるような、例えば SHA-2 がより安全であることを技術的側面からの考察をまじえて説明するようなものになればいいな。。。

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